副鼻腔(ふくびくう)
ヒトの顔面には鼻とつながった空洞があり、副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれています。
上顎洞(じょうがくどう)、前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つがあります。
小児ではまだ発育途中で空洞は小さく、15歳ごろまで空洞は大きくなっていきます。
副鼻腔に炎症が起こった状態が副鼻腔炎で、経過によって急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎に分類されます。膿が副鼻腔にたまることが多く、むかしは(蓄膿・ちくのう)と呼ばれていました。
副鼻腔にウイルスや細菌による感染・炎症を起こした状態です。
鼻づまり、鼻漏(黄色い粘りの強い鼻汁)、後鼻漏(鼻からのどに落ちてくる痰)
頬部痛(頬のあたりの痛み)、頭痛(眉間から頭の前方の強い痛み)、時により発熱などが見られます。
直接鼻やのどを観察し、レントゲンによって副鼻腔の状態を評価します。
副鼻腔の炎症による粘膜の腫れや膿の貯留がある場合はレントゲンで白い陰影を認めます。
またファイバースコープを用いて、鼻の奥の鼻漏の量や、鼻にポリープができていないかなどを直接観察します。
副鼻腔炎の重症度を判定して抗生剤を決定し治療します。時に最重症の場合は点滴を行うこともあります。
またネブライザー治療により鼻から直接薬剤を吸入し、治療効果を高めます。慢性副鼻腔炎に移行しないようしっかり治療を行うことが重要です。
小さいお子様の場合はまだ副鼻腔自体が小さく、鼻との交通が広いため、鼻炎(汚い鼻汁)があるときは頻繁に副鼻腔にも炎症が及びます。そのためレントゲン撮影はあまり行わずに鼻・副鼻腔炎として鼻の症状に応じて抗生剤、鼻汁吸引、ネブライザー治療を行います。
いわゆる≪ちくのう≫であるかどうかの判定にこだわりすぎずに、鼻汁、鼻づまりの改善に努めることが大切です。
鼻との換気・膿の排泄がうまくいかず、副鼻腔の炎症が長く続いてしまっている状態です。
鼻づまり、鼻漏(白や黄色の粘りの強い鼻汁)、後鼻漏(鼻からのどに落ちてくる痰)
匂いが分からない、頭痛(重い痛み)などです。
レントゲンやファイバースコープを用いて副鼻腔や鼻の状態を評価し、アレルギーなど悪化要因がないかも検討します。
ネブライザー治療やマクロライド系抗生物質の少量長期投与を1-3カ月継続し、漢方薬を用いた内服治療も行います。それでも改善ない場合は手術治療が必要な場合もあります。
ポイントは手術が必要かどうか、また行うのであればどのタイミングでどのような手術を行うかの検討です。CT検査によりすべての副鼻腔の膿や粘膜の状態、鼻ポリープの有無などを確認して総合的に判断します。状態が特に悪い場合は手術治療を優先することもあります。慢性副鼻腔炎の治療は数カ月に及ぶことも多いため、症状が少し良くなったからといって自己判断で治療を中断せず、治癒確認までしっかり継続していきましょう。